イメージだけで意味の無い情報
或る転職情報系のウェブサイトを見て驚いた。
転職エージェントを選ぼうとしている転職希望者を馬鹿にしているのか、それとも騙そうとしているのか。
意味のない情報の羅列によるランキング。
表に纏められた情報は、
- 平均年収アップ額
- 公開求人数
- 非公開求人数
- 対応地域
である。これを見ただけで、ウェブサイトの作成者が転職エージェントを満足に理解していないことが分かる。
それでも、この中にも一つだけ役に立つ項目は含まれている。
どれか、お解りだろうか。
正解は「対応地域」だ。転職エージェントの対応地域だけには意味がある。
逆に上掲の4つ全てに意味があると思ったあなたは相当に重症だ。情報弱者、所謂「情弱」と言われても仕方が無い。情報を正しく読めないから、商売ではカモにされる。
職種によってはその時点でお払い箱だ。このようなペテンの上を行かなければ仕事にならない職種では当たり前のことだからだ。
では念のために、各項目について見て行く。
平均年収アップ額
先ずは平均年収アップ額を単純に比較しても意味が無い理由。
取扱求人の給与レンジは?
平均年収が300万の転職希望者が集まる転職エージェント「甲」では、平均450万になっているとしよう。
一方で、平均年収800万の転職希望者が集まる転職エージェント「乙」で転職後平均年収が1,000万になっているとする。
前者「甲」は平均年収アップ率は50%、後者「乙」では25%だが、そもそも単純比較に意味があるのだろうかという話だ。
分り易い喩えを挙げれば、受験予備校などで「偏差値が〇〇(数値)」上がりましたというものだ。
「偏差値が20上がりました」だとすれば、偏差値が40から60なら勉強する習慣の無かった生徒が予備校で学習習慣を身に付けたというだけの話かもしれない。一方で「偏差値が5上がりました」で偏差値65から70だとしたら、それなりの教育ノウハウが感じられる。
例えば40から45や55から60と比較すると65から70の偏差値5を上げるのは至難の業だからだ。要するに偏差値の上昇数値そのものに予備校の良し悪しが反映されているわけでは無く、偏差値はその水準によっても意味が変わってくるということ。
話を戻すと、そもそも「甲」、「乙」では取り扱う転職希望者層が異なるのだから、転職エージェント選びに於いて、比較することに意味はないのは勿論のことだし、年収レンジによって年俸の伸び率の価値は変わってくる。
社内でも聞かれないだろうか。「年収ベースで当社ではもう上限に近いから、給与をあまり上昇させることはできない」と云った表現を。
これは口実でもあるのだが、ある一定のレンジ例えば300万~500万とか400万~600万とか、会社によってレンジは異なるが、給与を上昇させやすいレンジと、役員報酬など他との兼ね合いで
だから、見方を変えれば、例えば、先の例で言えば、ハイクラスの転職である後者の25%上昇の方が価値が高く凄いのかもしれないということなのだ。
今、転職希望者層が異なる転職エージェントで例を挙げたが、同じ平均年収アップ率と言っても、その値打ちは個々の内訳次第でも変わってくる。
もっと本質的な理由を挙げてしまえば、年収アップ率は、転職希望者個々人に起因する部分が大きい。
平均年収アップ率の高い転職エージェントに登録し、転職支援を受ければそのお
だから
公開求人数、非公開求人数
これは取扱求人数を公開求人数と非公開求人数の別に分けているのだと思うが、求人の内訳が問題となる。
あなたが製造業系のエンジニアだとしよう。製造業系エンジニアに特化した転職エージェントで求人を6,000件保有しているのと、あらゆる分野の業種、職種を網羅的に保有する総合型転職エージェントで求人を100,000件保有しているのと、あなたにとって、どちがが好ましいと言えるのだろうか。
より多くの機会を得るため、転職エージェントは数多く利用した方が
これは製造系エンジニアでは無いあなたにとっても同じことだ。
対応地域
これには意味がある。
転職エージェントが対象求人を取り扱っていない地域に勤務希望では、登録しても満足の行く転職支援は受けられないからだ。
例えば、関東、しかも東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の一都三県が勤務地の求人しか取り扱わない転職エージェントに、大阪、名古屋、福岡などの転職を希望して登録しても転職支援は受けられないだろう。だから主としてあなたが登録する転職エージェントが勤務地が何処の求人を取り扱っているのかを確認することはたいへん重要なことなのだ。
自分の頭で考えて転職
「考えて転職」の主導動機(
少なくとも「考えて転職」では
余談だが、本記事は、幾つかの転職系ウェブサイトを見て覚えた怒りの結晶だ。転職希望者を惑わす根拠のない情報を垂れ流しにしているのを目にしたからだ。不安や無知を食い物にするのは良く無い。
「よ~く考えよう!」