甘いことを考えていないか
転職に限った話では無いが、厳しく現実と向き合わなければならないと、ともすると甘い言葉に流される。
転職情報では、発信する側に問題があると極めて有害なものとなる。
情報を発信する場合、大きく分けて2つのアプローチがある。このアプローチの違いは転職情報を有益なものとするか、有害なものとするかを決める。
情報発信の2つのアプローチについて見て行こう。
転職情報発信の在り方
情報発信の2つのアプローチは大別して
- ひとつは聞き手の心地良さを優先するアプローチ。
- もうひとつは正しい情報を伝えることを優先するアプローチ。
に分けられる。
聞き手の心地良さを優先するアプローチ
聞き手の心地良さを優先するアプローチは、発信した情報で聞き手がどこに着地するかをあまり意識しない。
気持ちよく聞いてもらえる内容を優先して語る。
転職活動で言えば、「楽して」、「労せずして」などの言葉が好まれる。
聞いている当の本人は気付かなくても、傍で見ていると歯の浮くような
こんな情報の発信者は、あなたの転職が成功しようと失敗しようと構いはしない。あなたからは単に利益さえせしめることができれば好いのだ。
転職情報に欠けた前提条件
よくある質問のひとつ
転職エージェントには何社登録すれば良いですか。
に対し
転職エージェントには3つ登録すれば大丈夫。
これが先に挙げた聞き手の心地良さを優先するアプローチでの典型的な答え方だが、転職希望者の現在の状況を一切勘案しないで簡単に答える。これはきわめて無責任なことだ。
質問者が仮に転職エージェント10社に登録していたとしても、転職エージェントから求人の紹介が十分に受けられない状況ならば、まだまだ新たに転職エージェントに登録すべきだ。勿論、これが20社でも同様だ。
それに転職コンサルタントとの出会いに恵まれていなければ、職務経歴書を初め、応募書類の質がもっともっと向上できるかもしれない。¶ 納得できる水準へ
漠然とそんな質問の答えを求めるのもどうかしているが、答える者には好い加減な話は
質問者の
無責任な答えだと言い切る
現実を正しく伝えることにこだわらないから、厳しい現実には極力触れない。
あなたは心地良さを優先するアプローチでの転職情報を手にすれば、実際に活動開始した時は、情報と現実とのギャップに苦しむ。結果、時間は浪費され、転職は覚束ないだろう。
情報提供者は、あなたがどこに着地するかを意識していないから当然のことなのだ。
不安を煽るアプローチも同様
逆に、
この場合は、不安になり、下手をすると行動が止まってしまう。どちらも無責任だ。
不安を煽ること、恐怖を感じさせることは、相手に言うことを聞かせる常套手段である。
不安を煽る記事、恐怖を感じる記事は読まない方が好い。
事実を、真実を伝えようとしている記事は、やたらに不安や恐怖は覚えさせないものだ。
必要最低限の不安や恐怖は、事実が、真実が、
¶ 誰のための「転職35歳限界説」なのか|周りの言葉が気になったら|評論家の言葉には耳を貸さない
情報発信者の目的
いずれにせよこれらのアプローチに基づく転職情報には問題がある。
正しい情報を伝えることよりも、情報発信者が望む一定の効果を聞き手に与えることを主目的としているからだ。
ゴシップ(噂話)なら面白可笑しく、聞き手が心地良ければ良いかもしれないが、転職情報ではそうはいかない。
転職情報は聞き手にとって或る意味で死活問題に繋がるからだ。
正しい情報を伝えることを優先するアプローチ
一方で、正しい情報を伝えることを優先するアプローチでは、厳しい現実を伝える。
現実にこだわるから、聞き手の着地点は常に意識される。
できれば気持ちよく聞けるように語りかけたいが、現実からは目を背けない。
転職活動で言えば、「楽して」とか、「労せずして」といった言葉はあまり使わない。転職が楽にとか、労せずして実現することは極めて稀だから。
目指すのは情報受信者が、あなたが転職成功に繋がる転職活動ができるようになること。
転職活動は失敗と困難の連続
転職は、真剣勝負だから困難が伴う。大抵は挫折の連続だ。
良い求人であればあるほど、応募者が殺到し競争は
その前段階も、求人情報を集めたり、
しっかり自分と向き合い、時には思い出したくない過去をきちんと思い出さなければならない場面も出てくるからだ。
応募書類や面接での受け答えの質を高めようと思えば、かなりの労力が伴う。
嫌な過去があるとしても、事前にきちんと向き合っておけば回答に窮することは無い。
転職コンサルタントに相談することもできる。こんな時、場数を踏んだ転職コンサルタントは頼もしい。
試行錯誤
転職エージェントの利用も計算通りにはいかない。
転職コンサルタントに自分を十分に理解してもらうことが、自分に合った求人案件を紹介してもらうことに繋がるが、これには困難が伴う。自分を正確に理解してもらうことは、とても難しいことだからだ。
表現するあなた側の事情もあれば、受け手である転職コンサルタント側の事情もある。
転職コンサルタントとの出会いを重ね、試行錯誤するしかない。
無駄に苦労をしたり、労力を使ったりする必要は全く無いが、必要な苦労を避けることは
生みの苦しみというものはあるのだ。
だから、
自分の頭で考える
無駄な苦労を避けること。必要な苦労を見極めること。この特効薬は自分の頭で考えることだ。
自分の頭で考えるとは、自分の頭で情報を拾ってくるという意味ではない。
誰かの考えを拾って来たとしても、それをきちんと自分に引きつけて一から考え直すこと。
手掛かりにしても良いが、
転職上級者、専門家、元転職コンサルタント、転職のプロなどなど言い方は色々あるだろう。そんな呼称や肩書に惑わされないこと。
「それがなんぼのもんじゃい」くらいに思った方が好い。
きちんと真実を語るものは妙な呼称や肩書を付けない。言葉自体が雄弁であることを知っているからだ。
妙な呼称や肩書を付けたものの言葉には、疑いを持って
「考えて転職」
「考えて転職」ではあなたが考えるための材料とその方法を示している。
例えば、転職エージェントの選び方を説明した場合では、どういう
だから、その
師事してはいないだろう
大上段からの「~すべきだ」といった言葉は、あなたが真に信頼する師とでも言える人物以外からのものは鵜呑みにしてはいけない。
何かについて師事している場合は、一時的に鵜呑みのして、修行することには意味がある。
一段上がらないと見えない展望を見た人からの言葉には重みがあるからだ。
だからあなたが本当に「転職活動の師と尊敬できる人」からの言葉なら、解らずとも従って良い。
ただ、信頼できる相手だからといって、「転職活動の師」と呼べる人物でないのなら、鵜呑みはいけない。信頼の意味が違うからだ。
自分の頭で考えること。転職成功の秘訣はこれしかない。¶ 自分の頭で考えることが転職成功への近道
異なった切り口で、転職情報を2つの種類に分けて説明している。¶ 転職情報の2つの種類|転職情報の嘘に騙されない-自分の頭で考えて転職